大国主神/日本の神様

大国主神

名称大国主神(オオクニヌシノカミ)
別名大穴牟遅神(オオムナヂノカミ)
葦原色許男神
八千矛神
宇都志国玉神
大物主神
国作大己貴命
葦原醜男
八千戈神
大国玉神
顕国玉神
大己貴神
大国魂神
大穴持命
など

大国主神(オオクニヌシノカミ)は、『古事記』に登場する日本神話の神です。国津神の代表的な神(天津神の最高神である天照大神に対して国津神の最高神と言われています)。出雲大社・大神神社の祭神。

大国主神に纏わる神話

因幡の白兎

大穴牟遲神(オオムナヂノカミ=大国主神のこと)には兄弟(八十神)がいました。八十神は大穴牟遲神を嫌っていました。八十神は、稲羽の八上比賣(ヤガミヒメ)に求婚をしに稲羽に出掛けた時、大穴牟遲神に袋を持たせ、従者のように引き連れました。
「気多(けた)の前」に来たとき、裸の兎が伏せっていた。兎は、八十神に「海塩を浴び、山の頂で、強い風と日光にあたって、横になっていることだ」と教えられた通りに伏せていたが、海塩が乾くにつれ、体中の皮がことごとく裂けてきて、痛みに苦しんで泣いていると、最後に現れた大穴牟遲神が「なぜ泣いているの」と聞きました。
兎は「私は隠岐の島からこの地に渡ろうと思ったが、渡る手段がありませんでした。そこで、ワニザメ(和邇)を欺いて、『私とあなたたち一族とを比べて、どちらが同族が多いか数えよう。できるだけ同族を集めてきて、この島から気多の前まで並んでおくれ。私がその上を踏んで走りながら数えて渡ろう』と誘いました。すると、欺かれてワニザメは列をなし、私はその上を踏んで数えるふりをしながら渡ってきて、今にも地に下りようとしたときに、私は『お前たちは欺されたのさ』と言いました。すると最後のワニザメは、たちまち私を捕えてすっかり毛を剥いでしまいました。それを泣き憂いていたところ、先に行った八十神たちが『海で塩水を浴びて、風に当たって伏していなさい』と教えたので、そうしたところ、この身はたちまち傷ついてしまったのです」といった。そこで、大穴牟遲神が兎に「今すぐ水門へ行き、水で体を洗い、その水門の蒲(がま)の穂をとって敷き散らして、その上を転がって花粉をつければ、膚はもとのように戻り、必ず癒えるだろう」と教えたので、そうすると、その体は回復しました。喜んだ兎は 「八十神は決して八上姫(やかみひめ)得ることはできません。八上比賣はきっと、あなたのお嫁さまになるでしょう。」 と予言しました。一目で人となりを判断できる聰明な女性の八上比賣は八十神の求婚をはねつけて、後から来た大穴牟遲神と結婚することとなりました。

八十神(ヤソガミ)の迫害

大穴牟遲神(オオムナヂノカミ=大国主神のこと)の兄神たちである八十神は因幡国の八上比賣に求婚するが、八上比賣は大穴牟遲神と結婚するといったため、八十神は大穴牟遲神を恨み、殺すことにしました。大穴牟遲神を伯岐国の手前の山麓につれて来て、「赤い猪がこの山にいる。我々が一斉に追い下ろすから、お前は待ち受けてそれを捕えよ」と命令し、大穴牟遲神が待ち構えていると、八十神は猪に似た大石を火で焼いて転がし落とし、それを捕えようとした大穴牟遲神は石の火に焼かれて死んでしまいました。
大穴牟遲神の母親の刺国若比売(サシクニワカヒメ)は息子の死を悲しんで高天原に上り、カミムスビに救いを求めた。カミムスビが遣わしたキサガイヒメとウムギヒメ(蛤貝比売)の治療によりオオナムヂは生き返りました。
大穴牟遲神の復活を知った八十神は、再度殺害を試み、大木を切り倒して楔で割れ目を作り、そのなかに大穴牟遲神を入らせ、楔を引き抜いて打ち殺してしまいました。母親は泣きながら大穴牟遲神を探して大木をみつけ、すぐに木を裂いて取り出して生き返らせた。母親は、「あなたはここにいたら、八十神に滅ぼされてしまうだろう」といい、木国のオオヤビコの所へ行かせました。オオヤビコの所へ行くと、追ってきた八十神が大穴牟遲神の引き渡しを求めた。オオヤビコは大穴牟遲神を木の股を潜り抜けさせて逃がし、スサノオのいる根の堅州国に向かうように言いました。

根の国訪問

根の国のスサノオの家で、大穴牟遲神はスサノオの娘のスセリビメ(須勢理毘売命)と出会い、二柱は一目惚れしました。スセリビメが「とても立派な神が来られました」というので、スサノオは大穴牟遲神を呼び入れたが「ただの醜男ではないか。葦原色許男神(アシハラシコヲ)と言った方が良い。蛇の室(むろや)にでも泊めてやれ」と、蛇がいる室に寝させられました。スセリビメは「蛇の比礼(ひれ:女性が、結ばずに首の左右から前に垂らすスカーフの様なもの)」を葦原色許男神(大国主)にさずけ、蛇が食いつこうとしたら比礼を三度振るよう言い、その通りにすると蛇は鎮まったので、葦原色許男神は無事に一晩寝て蛇の室を出られました。次の日の夜、スサノオは葦原色許男神を呉公(ムカデ)と蜂がいる室で寝させましたが、スセリビメは「呉公と蜂の比礼」をさずけたので、葦原色許男神は無事にムカデと蜂の室を出られました。
今度はスサノオは広い野原の中に射込んだ鳴鏑(なりかぶら)を拾うよう葦原色許男神に命じました。葦原色許男神が野原に入ると、スサノオは火を放って野原を焼き囲んだ。葦原色許男神が困っていると鼠が来て、「内はほらほら、外はすぶすぶ」(穴の内側は広い、穴の入り口はすぼまって狭い)と言い、それを理解した葦原色許男神がその場を踏んでみると、地面の中に空いていた穴に落ちて隠れることができ、火をやり過ごせました。また,その鼠はスサノオが射た鳴鏑を咥えて持って来たため、スセリビメは葦原色許男神が死んだと思って泣きながら葬式の準備をしました。スサノオは葦原色許男神の死を確認しに野原に出てみると、そこに矢を持った葦原色許男神が帰って来ました。
スサノオは葦原色許男神を家に入れ、頭の虱を取るように言った。ところが、その頭にいたのはムカデであった。葦原色許男神は,スセリビメからもらった椋(むく)の実を噛み砕き、同じくヒメにもらった赤土を口に含んで吐き出していると、スサノオはムカデを噛み砕いているのだと思い、かわいい奴だと思いながら眠りに落ちました。
葦原色許男神はこの隙に逃げようと思い、スサノオの髪を部屋の柱に結びつけ、大きな石で部屋の入口を塞ぎ、スサノオの生大刀と生弓矢、スセリビメの天詔琴を持ち、スセリビメを背負って逃げ出そうとした時、琴が木に触れて鳴り響ました。その音でスサノオは目を覚ましたが、髪が結びつけられていたため起き上がれず、スサノオが柱から髪を解く間に、葦原色許男神は逃げることができました。
スサノオは、葦原中津国(地上)に通じる黄泉比良坂(よもつひらさか)まで葦原色許男神を追ったが、そこで止まって逃げる葦原色許男神に「お前が持つ大刀と弓矢で従わない八十神を追い払え。そしてお前が大国主、また宇都志国玉神(ウツシクニタマ)になって、スセリビメを妻として立派な宮殿を建てて住め。」と言いました。葦原色許男神は出雲国へ戻って大国主となりスサノオから授かった太刀と弓矢を持って、八十神を山坂の裾に追い伏せ、また河の瀬に追い払い、全て退けました。そしてスセリビメを正妻にして、宇迦の山のふもとの岩の根に宮柱を立て、高天原に届く様な立派な千木(ちぎ)のある新宮を建てて住み、国づくりを始めました。
ヤガミヒメは本妻のスセリビメを恐れ、大穴牟遲神との間に生んだ子を木の俣に刺し挟んで実家に帰りました。

大国主の妻問い

八千矛の神(大国主神)は高志国のヌナカワヒメ(沼河比売)をめとろうと出かけ、歌をよみかわしました。

「八千矛(やちほこ)の 神の命は 八島国(やしまぐに) 妻娶(つまま)きかねて 遠々(とほとほ)し 高志(こし)の国に 賢し女(め)を 有りと聞かして

麗(くは)し女を 有りと聞こして さ呼ばひに 有り立たし 呼ばひに 有り通(かよ)はせ 太刀が緒も 末(いま)だ解かずて 襲衣(おすひ)をも

末だ解かねば 嬢子(おとめ)の 寝すや板戸を 押そぶらひ 我が立たせれば 引こづらひ 我が立たせれば 青山に 鵼(ぬえ)は鳴きぬ さ野つ鳥

雉(きぎし)は響(とよ)む 庭つ鳥 鶏(かけ)は鳴く 心痛(うれたく)も 鳴くなる鳥か 此(こ)の鳥も 打ち止めこせぬ いしたふや 天馳使(あまはせづかひ) 事の 語りごとも 此(こ)をば 」

訳:

「八千矛の神(大国主神)は、大八島国で妻を娶(めと)ること出来ずに遠い遠い越の国に、賢い女性がいると聞いて、麗(うる)わしい女性がいると聞いて、

求婚をしに出かけ求婚しに通って、太刀の紐もまだ解かないまま、服もまだ脱がないまま、乙女の寝ている家の板戸を押し揺すぶり私は立っていると、引き揺すぶり私は立っていると、

緑の山に鵼(ぬえ:虎鶫(トラツグミ))が鳴き、野の雉(きじ)は騒ぎ、庭のニワトリも鳴いている。

いまいましく鳴いている鳥よ、この鳥ども、鳴き止まないものか。天翔ける使いの鳥よ、この事を語り伝えよう。」

すると、沼河比売(ぬなかわひめ)は戸を開けずに、家の中から次のように二首の歌を詠みました。

「八千矛の 神の命 萎(ぬ)え草の 女(め)にしあれば 我が心 浦渚(うらす)の鳥ぞ 今こそば 我鳥(わどり)にあらめ 後は 汝鳥(などり)にあらむを 命は な殺(し)せたまひそ

いしたふや 天馳使(あまはせづかひ) 事の 語り言(ごと)も 此(こ)をば」

訳:

八千矛の神(大国主神)よ、私はなよなよした草のような女です。私の心は渚(なぎさ)の鳥のようです。

今は私の鳥ですが、やがてはあなたの鳥になりましょう。ですから命だけは殺さないで下さい。天翔ける使いの鳥よ、この事を語り伝え致しましょう。

「青山に 日が隠らば ぬばたまの 夜は出でなむ 朝日の 笑み栄え来て 栲綱(たくづの)の 白き腕(ただむき) 沫雪(あわゆき)の 若やる胸を そ叩き叩き愛(まな)がり 真玉手(またまで) 玉手差し枕(ま)き 股(もも)長に 寝(い)は宿(な)さむを あやに な恋ひ聞こし 八千矛の 神の命

事の 語り言も 此(こ)をば」

訳:

緑の山に日が沈んだら 真っ暗な夜がやって来ます。あなたは朝日のような笑顔でやって来て、

栲網(たくづの:コウゾ(クワ科の植物で和紙の原料としても使われている)で作った綱が白いところから枕詞では「しろ」「しら」にかかる)のような私の白い腕、

沫雪(あわゆき:泡雪)のような私の若々しい胸を、そっと触れ、撫で、玉のような私の手を枕にし、足をのばし、いつまでも休まれることでしょう。ですので、そんなむやみに「恋しい」とおっしゃらないでください。八千矛の神(大国主神)よ。この事を語り伝え致しましょう。

このように、大国主神と沼河比売(ぬなかわひめ)は愛の歌を詠み交わしました。これが「神語り(かむかたり)」で、男女の問答歌の始まりと言われています。

その後、大国主神と沼河比売(ぬなかわひめ)は、翌晩にお会いになり結婚されました。

そのため、妻のスセリビメが大変嫉妬しました。困惑した八千矛の神(大国主神)は出雲国から大和国に逃れる際にスセリビメに歌をよむと、スセリビメは杯を捧げて留める歌を返しました。二神は杯を交わし、今に至るまで鎮座しています。

日本の神様・八百万の神様一覧/日本を知ろう。
3.95

神社には様々な神様が祀られています。お住まいの土地・旅先で訪れた土地など、その土地には古来より人々の日々の暮らしや信仰を見守り続けた神社があり、祀られている神様がいます。ぜひ、神社に訪れた際には祀られている神様を調べてみて、その土地の歴史や昔から受けがれている人々の想いを感じてみてはいかがでしょうか。こちらでは、古事記や日本書記に登場する神様をご紹介していきます。

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